2021-07-14
いながきくんの名札
いながきくん - 思い出シリーズ#2
仮名にしておくが、「いな」までは実名である。
幼稚園、小学校で同じクラスになったことがあるかつての友人。
何度か家にも遊びに行ったこともあるが、とりたたてて仲が良かったわけでもない。
家に行ったのも、何人かで遊びに行ったのであって、一人で行くことはなかった。そのぐらいの仲である。
中学校はどこかの私立に行ったらしく、小学校以来会ったことはない。
何度か家にも遊びに行ったこともあるが、とりたたてて仲が良かったわけでもない。
家に行ったのも、何人かで遊びに行ったのであって、一人で行くことはなかった。そのぐらいの仲である。
中学校はどこかの私立に行ったらしく、小学校以来会ったことはない。
しかし彼については一つ思い出があって、今でも覚えているのだ。
--
幼稚園の頃、七夕まつりで短冊に願いを書いた。
そのころ、「水曜スペシャルの探検隊」(川口浩探検隊)になりたかったので、
「すいようすぺしゃるのたんけんたいになりたい」と書こうとした。
「すいようすぺしゃるのたんけんたいに」まで書いて手が止まった。
「な」が書けない。
「な」が書けない。
見たことはあるはずで、書いたこともたぶんあるはずなのだが、どうしても思い出せない。
他の園児はみんな書き終わり始めているのに、まだ終わらない。
他の園児はみんな書き終わり始めているのに、まだ終わらない。
「○○になりたい」をやめて、「○○がほしい」とか別の願いに変えようかと考えたが、やっぱり変えたくなかった。水曜スペシャルの探検隊になりたかったのだ。
「すいようすぺしゃるのたんけんたいに」まで書かれた短冊を眺めながら、どうしたものかと思い、
「そうだ!この部屋のどこかに"な"の文字を書いてあるものがなにかあるはずだ」とひらめいた。
「そうだ!この部屋のどこかに"な"の文字を書いてあるものがなにかあるはずだ」とひらめいた。
教室をキョロキョロして見つけたのが、いながきくんの名札であった。
そこには「な」の文字が!
意気揚々と、短冊に「な」を書き入れる。できた。
これで水曜スペシャルの探検隊になれるよう、お願いができる。
これで水曜スペシャルの探検隊になれるよう、お願いができる。
先生の合図で、みんな一斉に出来上がった短冊を笹に結びつける。
僕も結びつけ終わったが、見ると、
「すいようすぺしゃるのたんけんたいにな」
と書いてあった。
「な」を書けたことが嬉しくて、「りたい」を書き忘れてしまったのだ。
「すいようすぺしゃるのたんけんたいにな」
と書いてあった。
「な」を書けたことが嬉しくて、「りたい」を書き忘れてしまったのだ。
中途半端なお願いになってしまったせいか、水曜スペシャルの探検隊にはなれなかった。
--
過去のテレビ番組を特集する企画で、「水曜スペシャル」を見ることが何度かあった。
奮闘する川口浩を見ながら、
「子供の頃は川口浩探検隊にあこがれてたなあ」
と思いながら、ふといながきくんのことを思い出すのだ。
奮闘する川口浩を見ながら、
「子供の頃は川口浩探検隊にあこがれてたなあ」
と思いながら、ふといながきくんのことを思い出すのだ。
元気にしてるのかなあ。