2021-07-28
遠足 〜 地獄の行程
えんそく - 思い出シリーズ#4
小学校の時の楽しみの一つ、遠足。
前日におやつを買ったり、「遠足のしおり」を何度も見返したり、前日から楽しみにしてて、実際当日も楽しい遠足もありました。
でも、僕にとって「地獄の遠足」が一つあったので、ここに記しておこうと思う。
—
あれは確か小学校5年生のこと。
山登りの遠足だった。
山まではバスで多分1時間程度の道のりだったと思う。
僕の家には車がなく、滅多に車に乗る機会がないせいもあったのか、車酔いが酷かった。ひどい時は電車でも酔うくらい弱かった。
前日から、バス移動が心配ではあったが。。
小学校のグラウンドから観光バスに乗り込んで出発して、ものの5分でもう吐きそうなほど酔ってしまった。
もう帰りたい。
吐いてしまえば楽になるのかもしれないが、吐けないのもいつものこと。
ただひたすらに苦しいバスに耐え、なんとか山に到着するも、山など登れる状態ではない。
もう帰りたい。しかし登らねばならない。
僕の他にも車酔いをする子はいて、
「酔った子組」
が自然と形成される。最後尾、かなり遅れながらもみんな頑張って頂上を目指す。
少し登ったところで吐いた子もいた。そんなに簡単に車酔いは治らないのだ。
何度も休憩を挟みながら、かなり遅れたがなんとか頂上にたどり着いた。
酔わない子たちはもうすでに弁当を食べ終わっていた。
僕も弁当を食べたかったが、とても食べられる状態ではない。一口、二口ほどは食べただろうか。
カーチャンの渾身の弁当がほとんどパーである。
つらい。もう帰りたい。
横になっているうちに、帰りの時間になる。
まだ気分は悪いが、下山は問題なかった。
7割ほど回復といったところだろうか。
帰りももちろんバスである。
あっという間にまた酔い、吐くのを堪えながらなんとか学校に到着。
点呼や先生の話があるのですぐに解散はしない。
早く帰りたい。
やっと解散となるが、そこからまた家までの道のりも吐き気との戦いは続く。
やっと家に着いた時、
「終わった」
と安堵した。後は寝てれば数時間で回復する。
「地獄の遠足」から解放されたのだ。
「家に帰るまでが遠足ですよ」
そうだね。やっと解放されたよ。。。
—
大人になり、自分で車を運転するようになってからは、ほとんど車酔いをすることはなくなった。
それでも、寝不足が続いて体調があまり良くない時など、バスで少し酔ったことが何度かある。
「帰りたい」
そう思うたび、あの地獄の遠足を思い出すのだ。
—
幸いにも、我が子たちはこの酔いやすい体質は受け継いでいない。
遠足は楽しいものであるようだ。
いいなあ。。。