プログラマによる技術記事を書かないブログ。

おばちゃんたちの思い出

おばちゃん  -  思い出シリーズ#5

今でもよく覚えている、子供の頃よく行った近所のお店のおばちゃんたち。
おばちゃんというか、みなほぼおばあちゃんだが。

ラーメン屋のおばちゃん

近所の川の橋の近くに、おばちゃんが一人で切り盛りしている小さなラーメン屋があった。
店頭でアイスを売っていたのでそれ目当てに子供の頃よく行った。

「おばちゃーん」と呼んでお金を払うと、いつも「はい、おおきに、ありがとう」と、毎回同じリズムで言われたのが印象深い。

この店に客が入っているのはほとんど見なかったが、一度、近所の人がラーメンを食べているのを見たことがある。その時のラーメンが妙にうまそうだったので、姉と一緒に一度そのラーメンを食べに行ったことがある。小学4、5年生ぐらいの頃かな。
ラーメンを注文し待っている時、壁に大きなゴキブリが現れたのだが、おばちゃんが、
「おお、おおきなアブラムシィ〜」と言うと、バシッと素手で捕まえてしまった。
握りつぶしたのかよくわからないが、ゴミ箱かどこかに捨てたようで、そのあとちょろっと手を洗ったあと調理を再開した。すごい。
出てきたラーメンは、味の素とコショウが大変によく効いた個性的なラーメンだった。
まずくはなかった。味の素とコショウは偉大だ。

この店にはおでんも売っていて、いつも鍋にいっぱいの具が入っている。
お客は全然来ないのにいつもいっぱい入っているのだ。
どの具がいつから入っているのかはよくわからないが、具が「グレー」のものはかなり古そうである。茶色っぽい「よく味のしみた感じのうまそうな色の大根」と、「グレーの大根」があった。何日か煮込んだらグレーになるのかどうかは知らないが、食えない状態に変質しているのではないらしい。これも近所の人(ラーメンと同じ人)が食べているのを見たことがあるから大丈夫なのだろう。
持ち帰りができるので、大根、じゃがいも、ちくわなど一通り食べたことがある。
グレーのじゃがいもがすこぶるうまかった。
今まで食べた中で一番うまかったおでんのネタはこの「グレーじゃがいも」だといっていいだろう。

ある日、タコ焼きを始めたのだが、イカかタコかを選べた。イカが入ったタコ焼きは珍しかったので、近所のそろばん塾の子たちが買いに来て、一時繁盛していた。
あの店にあんなに客がいるのを初めて見たが、しばらくするとタコ焼きは売れなくなり、やめてしまった。
ある日タコ焼きを買いに行き、焼き上がりを待っていたが、明らかに手付きが悪い。
おばちゃんもタコ焼きは初めて扱うようで、
「お好み焼きやったらほっといたらええけど、タコ焼きはずっと付いとかなあかんなあ」
とぼやいてたから、ずっと続けるのはイヤだったんだろう。
持ち帰り用のトレーも、「スーパーで買ったイカか何かが入ってた感じのトレー」とかの余ったやつを流用してたので、そのあたりも不人気の原因となって、自然と客も離れたようだ。
僕はよく買ってて好きだったんだけどね。何より近かったので。

僕が高校生ぐらいの頃に、おばちゃんがなくなったのかずっと閉店してて、数年後に更地になった。
後で知ったがもともと夫婦でやってたらしく、一人になってもがんばって続けていたようだ。


タバコ屋のおばちゃん

子供の頃「小学○年生」の雑誌をよく読んでいて、懸賞がついていたので毎回応募していた。
雑誌に付いているはがきを持って近所のタバコ屋へ行き、20円切手を買って貼ってすぐ横にあるポスト(今はほぼ見なくなった円筒型のやつ)にいれる。
このタバコ屋は、普通の住宅の一階の一部が店舗になっていて、駄菓子なども売っていたのでたまに買っていた。
おばちゃんが店番をしていた。鼻の横の大きなホクロが印象的なおばちゃん。
切手を買うと、
「貼ったろか」
と言っていつも貼ってくれた。
はがきを渡すと、20円切手をベロリとなめ、貼ってくれた。
中学生以降、このタバコ屋の前を通ることはあったが、買い物をしたことはない。

ある時前を通ると、家がリフォームされていて、店の入口だったところは「玄関」になってしまった。


タコ焼き屋のおばちゃん

おばちゃんが店番をしていて、10個で百円という、今ではありえない低価格で売っていた。
サービスなのか数を数え間違えているのかわからないが、たまに11個とか12個入っていることがあるのでお得だった。何個かはタコが入っていないこともあったが。
タコを切らしているときはかわりに「ちくわ」が入っていた。タコっぽい感じもするのでまあいいか、とあまり気にはしていなかった。おおらかな時代である。
「みかん水」と一緒によく買って食べた。

高校生ぐらいの頃に更地になった。亡くなったのだろう。


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どのおばちゃんも特に親しく話したりしたわけではないが、何度も店に行き、小銭を何度もその手に乗せ、お釣りをこの手に何度も乗せてもらったので、今でも印象深く覚えている。
当たり前だが、子供の頃にすでにおばあちゃんだった方々は、もうみんな亡くなってるのだなあ。

合掌。
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